りんご

栽培法と品種

栽培法

リンゴに限らず商品価値の高い果実を収穫するためには、開花直前から開花時期に優位な花を残す「花摘み」、結実後30日程度を目安に実を間引く「摘果」作業が必要である。リンゴには果実に袋をかける有袋栽培とかけない無袋栽培がある。無袋の方が日光が多くあたり糖度も上がるが、ふじ等の一部の品種は果実の色を鮮やかにし商品価値を上げるため有袋栽培を行う。また、有袋栽培には貯蔵性が向上する効果もあり、さび防止のためには遮光度の弱い袋を使用し、着色向上のためには遮光度の強い新聞紙や二重袋などを使用する。名称の頭に「サン」が付くリンゴは無袋で栽培されたことを示し 見栄えは悪いが甘く美味しいリンゴが収穫される。着色には太陽光が大きな役割を果たすため、果実の日当たりをよくするため摘葉および玉まわし(着色ぐあいを均一にするため、樹上の果実を回転させること)、太陽光を反射させるためのシートの敷設などが行われる(参考画像参照)。なお、これらの作業は農家にとって大きな負担となるため、近年では着色促進剤が使われることもあるが、着色系と呼ぶ色付きの優れた選抜亜種への更新も行われる。省作業になる「葉とらずリンゴ」は摘葉を行わない。樹形は矮性が主流となっている。近年は花粉を媒介する昆虫の減少から人手による人工授粉も広く行われている。または摘花の省力化目的でギ酸カルシウム剤を散布する場合もある。

樹形と台木

日本にリンゴ栽培が伝えられた頃と同様な伝統的な樹形で栽培する場合、台木はマルバカイドウが用いられる。矮性栽培法は、1975年頃より普及が始まった樹高を低くし矮性栽培を行う方法で、台木はM26、M9、JM7等を使用する 。矮性栽培により生産者の肉体的負担の軽減や農薬散布の機械化に大きく貢献した。

品種

日本の農林水産省に登録されている品種は177種で、うち品種登録が維持されているものは85種。多くの有名品種は誕生年が古く、品種登録されていない。世界中では数千から1万以上の品種が存在するとみられている。

世界一生産量の多いリンゴ「ふじ」

青森県藤崎町で誕生した「ふじ」は日本で最も一般的に栽培される品種で、日本国外にもさかんに輸出され、名前も日本同様「Fuji」の名で親しまれている。中国・北アメリカ・オーストラリアなどでの栽培も多く、世界的にも最も生産量の多い品種であることが2001年に米国人学者達による調査によって確認された。無袋で日光を十分に浴びさせて栽培したものは「サンふじ」の名で出荷される(「サンふじ」はJA全農長野の登録商標)。早い時期に市場に出回る早生(わせ)ふじは同じ糖度の果実であっても甘みや酸味にばらつきがある。見た目は赤く色づいていてもふじらしい食味がないことがあるので注意が必要である。その他を品種改良をして小玉のふじ「姫ふじ(ひめふじ)」もある。

豊丘村ニュース
品種と特徴
品種名 誕生年
誕生地
元となる品種 収穫時期 特徴 備考
ふじ 1939年
青森県
農林省
園芸試験場
東北支場
国光
×
デリシャス
10月中旬 - 年間生産量約1230万tで、日本・世界的にも最も多く生産される品種。「新津宏」らにより1958年に「東北七号」と仮称命名され、1962年に「ふじ」と命名された。品種名の由来は、育成地である青森県藤崎町(ふじさき)にちなみ、「富士山」にもかけている。甘みが強く歯ごたえも良く日持ちもする。
デリシャス 1870年
アメリカ
アイオワ州
偶発実生 9月中旬
- 10月上旬
年間生産量約930万t。1913年に岡山県「花房省吾」が日本に導入したとされるが、1911年カリフォルニア州より北海道大学が導入との説もある。
似た名前にゴールデンデリシャスがあるが、系統的には無関係。
ゴールデンデリシャス 1914年
アメリカ
ウェストバージニア州
GrimesGolden
×
GoldenReinette
9月中旬
- 10月上旬
年間生産量約880万t。1923年日本に導入された。
王林
(おうりん)
1952年
福島県
伊達郡
桑折町
大槻只之助
ゴールデン
デリシャス
×
印度
10月中旬 - 緑色に斑点のついた外見が特徴の晩生品種で香りと甘みが強い。
貯蔵性が非常に優れており、春先まで出荷される。緑や黄色の状態で流通するのが一般的だが、果実が赤く色づくこともある。
紅玉
(こうぎょく)
英名:Jonathan
(ジョナサン)
1800年頃
アメリカ
ニューヨーク州
リック農園
偶発実生 9月下旬
- 10月中旬
1871年に開拓使によって導入され、1900年に邦名を紅玉と命名された
その名の通り艶やかな深紅のリンゴで、やや小玉で酸味が強く果肉のきめは細かい。
戦前は美味しいリンゴの代名詞として、国光とともに一世を風靡。戦後は酸味の強さから後継品種に追われるが、芳香がありアップルパイなど焼き菓子用に根強い需要がある。
国光
(こっこう)
アメリカ
バージニア州
原産
不明 10月下旬 - 1871年日本に導入。戦前から1950年代にかけては「紅玉」と並ぶ日本ではもっともポピュラーな品種であった。
原名はRall's Janett.
果皮は黒ずんだ赤色で、果肉はかたく、甘みは少なく比較的さっぱりした味わい。
「ふじ」などの交配親として利用された。現在は黒石市でネット販売のみである。
津軽
(つがる)
1930年
青森県
りんご試験場
1975年
種苗登録
ゴールデンデリシャス
×
紅玉
8月下旬
- 9月中旬
果汁が多く、甘みが強いが果肉は比較的柔らかい。
1970年に「青り2号」と仮称命名され、1973年に「つがる」と命名された。
千秋
(せんしゅう)
1966年
秋田県
果樹試験場
1980年
種苗登録
東光
×
ふじ
9月中旬
- 10月中旬
果汁が多い深紅のリンゴ。千秋公園の名から品種名がとられた。
アルプス乙女
( -おとめ)
1964年
長野県
松本市
波多腰邦男
ふじ
×
紅玉
偶発実生
9月下旬
- 11月中旬
ヒメリンゴの一種で、最小級の大きさのミニりんご。実の重さは30gほどである。
姫小町
(ひめこまち)
1988年
長野県
上伊那郡
中川村
(有)小町園
(民間育種)
アルプス乙女
実生
7月下旬
- 8月上旬
ヒメリンゴの一種で鮮紅色、実の重さ約80g - 100gの大きさのミニりんご。アルプス乙女と比して1ヶ月以上早く、初夏に実をつける。観賞・生食兼用種で、実生時期と適度な実の大きさから縁日のりんご飴に好んで用いられる。
世界一
(せかいいち)
1930年
青森県
りんご試験場
デリシャス
×
ゴールデンデリシャス
9月中旬
- 10月上旬
最大級の大きさ(500 - 1000gほど)の品種。
印度
(いんど)
1875年
弘前市
不明 9月中旬 - 水分が少なく歯ごたえに欠けるが、甘味が強くて酸味はほとんどない。
戦後、高級リンゴとして出回ったが、他品種が広がると共に一時姿を消す。
2002年頃より再び出荷されるようになった。料理用として焼きリンゴに向く。品種名の由来はインドではなくインディアナから。

(あさひ)
英名:McIntosh
(マッキントッシュ)
1870年
カナダ
アラン・マッキントッシュ
農園
偶発実生 10月中旬 北米ではポピュラーな品種。早生で強い芳香があるが、日持ちがしない。
日本では、ほとんど生産がされないが、積雪に強いことから北海道でわずかの農家で栽培されている。
アップルのパソコン「Macintosh」の名前の由来。
ジョナゴールド 1943年
アメリカ
ニューヨーク州立
農業試験場
ゴールデンデリシャス
×
紅玉
9月中旬
- 10月上旬
1970年に秋田県果樹試験場によって日本に導入された。
シャリシャリ感のある果肉で酸味と甘みのバランスが良く(比較的酸味が勝る)、生食の他、酸味がある為、お菓子・料理用に向く。

(いわい)
アメリカ 7月中旬
- 8月上旬
早生の小玉リンゴ。8月下旬に熟するが、8月上旬に未熟な状態で収穫される。
青リンゴ・供物用のりんごとして売られている。
フラワー オブ ケント 俗称、ニュートンのリンゴ。落ちる実を見て、ニュートンが万有引力の法則についてヒントを得たという逸話(後述)で知られる。
落果しやすい性質を持ち、生食用ではなく、料理用として使われる。味は渋みと酸味が強いが追熟させると甘く、酸の利いたいい味になるという。
シナノスイート 1978年
長野県果樹試験場
1996年
品種登録
ふじ
×
つがる
10月中旬 果汁が多く、甘さも強く、香りも良い。「つがる」と「ふじ」の間を埋める品種として開発された。
シナノゴールド 長野県果樹試験場
1999年
品種登録
ゴールデンデリシャス
×
千秋
10月中旬
- 11月中旬
黄色く色付く。果汁が多く、甘さと酸味のバランスが良く、濃厚な味わいが楽しめる。
蜜が入らないことから貯蔵性に非常に優れる。日本国内よりヨーロッパでの評価が高く、2007年12月27日SKズードチロルへの栽培許諾の契約がなされた。
秋映
(あきばえ)
1993年
品種登録
長野県中野市小田切健男
千秋
×
津軽
9月下旬
- 10月上旬
甘さと酸味のバランスがよく、濃厚な味わいが楽しめる。色は濃厚な赤色。
リンゴの産地でも比較的温暖で低標高な地帯でも栽培に適す。つがるの特性を引き継いで、果肉がしっかりしていることと、食味が優れている。 
ぐんま名月
( -めいげつ)
1971年
群馬県
1991年
品種登録
あかぎ
×
ふじ
9月下旬
- 10月下旬
果汁が多く蜜入、糖度は15度程度で食味も良好。
陽光
(ようこう)
群馬県
1981年
品種登録
10月中旬
- 10月下旬
大玉で甘さと酸味のバランスがよく、濃厚な味わいが楽しめる。
大玉な上に日持ちがよいため、贈答品としても使われる。歯ざわりが良く、食味が優れている。
その他日本で生産される品種
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